来年の6月までに改正貸金業法が施行されます。亀井静香郵政・金融担当相は昨日の閣議後会見で、改正貸金業法の見直し議論に言及し、法改正を伴う見直しは考えていないことを明らかにしたそうです。
改正貸金業法は、貸付上限金利の引き下げや、貸付額を年収の3分の1までとする総量規制などを柱としています。貸金業法の改正でこれまで多くの多重債務者の方々が救われました。それは事実なのですが、全てが万々歳であるわけではなくやはり問題もあるようです。
旧貸金業法の存在によってグレーゾーン金利が発生し、多くの多重債務者の方々がその暴利に苦しめられてきました。一方、そんな高金利であってもその時にお金を借りることができて破産せずに済んだ個人の方や会社経営者の方がいたのも事実です。銀行や公的な金融機関がお金を中々融資してくれない状況で、大した貸し出し審査もなく50万とか100万を融資して(貸して)くれた消費者金融に代表される貸金業者は、そうした切羽詰まった人たちにとっては神様のように見えたかもしれません。もちろんそう見えたのはその時の融資で破産を免れた人のことですが。
改正貸金業法が施行される前から各業者は事前に対応を始めています。少し前までは「年利29%まで」とされていたのに今では「年利18%まで」とTVCMや広告でも変わってきています。しかしこれは単に利率が下げられただけで良かった良かったとなるものではない気がします。当然貸し出し審査は厳しくなるからです。
先日のさとうのブログでも書きましたが、貸金業者側も体力がなくなってきています。以前のように高金利をとれないとなると必然的に貸し出し審査も厳しくなるのは当然です。以前のように借りようと思っても借りれない事態が起こりえます。借りれないならどうするでしょう?借りれるところから借りるだけです。未だに貸金業法の上限利率よりも高い利率で貸し出しを行う“ヤミ金”の存在です。
先日も「ヤミ金からお金を借りたけど、執拗な取り立てがあって困る。」といった電話での相談がありました。その方は過去に自己破産されているということで、通常の金融機関はもちろんですが、消費者金融でも融資を断られたのでしょう。それでヤミ金に手を出してしまった。
町を歩いていると大きな看板を掲げて立っている男の人がいるのを見かけたりします。その看板の内容を見てみると「ブラックOK」、「自己破産者OK」などと書かれているのを見かけます。ヤミ金の可能性が高いです。電柱やガードレールなどに「お電話一本で融資します」などと書かれ、携帯番号が書かれているのも同様です。
ヤミ金の場合、その契約自体が公序良俗に反して無効だったり、違法な取り立てなどと相まって刑事事件に発展する可能性もあります。しかし、ヤミ金もあの手この手で形態を変えてきたりして潜在化しており、摘発したり、債務整理のように法律的に解決しようとしてもできなかったりします。通常の消費者金融なんかより、難しい問題がたくさんあります。
改正貸金業法が施行されて良かった良かったで終わるのではなく、そこから起こりうる問題にも目を向けていかなければならないと感じています。